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【2017年09月21日19:18 】 |
Wizardry外伝1 受難の女王 その32

「ん?」
ドアを開けようと手を伸ばそうとしたマリクが顔を上げる。
「どうした?」
「いや、多分、気のせいだとは思うんだけど……」
ラグラノールの問いにマリクは複雑な顔をして答える。
「今、なにかが倒れるような音がしなかったかい?」


さりがたき人の哥よむやうをしへよと度々仰せられ候へども


奥の院第5層。
カザルたちだけでなくマリクたちのパーティもこの階層を探索していた。
そして見つけたのはシークレットドア……ではなくダークゾーンの奥に隠された普通の扉。
「まさかこんなところに扉があるとはねぇ」
口の端に笑みを浮かべて小さく呟くマリク。
「悪魔どもがリルガミンに攻めてくるのならどうしても出入りというのは必要になるからな。そして侵入者を規制するために隠しておくのも理解できる……実に理にかなった位置だと思うが?」
「確かにその通りだ」
軍師役のラグラノールの分析に小さく頷き……
「……っと」
ドアの向こうの玄室、その中にいた人影に不意をつくように斬りかかる。
人影の数は5体……斬りかかった瞬間にマリクたちには正体もわかっていた。
「ふん、悪魔に心を売った騎士どもか」
不意をうたれた騎士……ワイヤードナイトたちは隊列を整えることも出来ず……
「まず1人!」
マリクのサーベルの突きによって首を貫かれ一瞬で絶命する。
「ご、あああああ!」
カタナを構えたドルツの斬撃は避けられたものの、素早いゼムンの攻撃は相手に致命傷を与えることなく、しかし確実に体力を奪ってゆく。
「ディー、すっごくヒマじゃないですかぁ?」
「ヒマだったら呪文の1つでも唱えたらぁ? ……あ」
あくびをするディーナに、髪をいじりながら返答するハロゥ。枝毛を見つけて不機嫌そうだ。
もはや前衛だけで終了することがわかりきった戦いで多少の疲労をすることも嫌った態度である。あきらかに余裕、といえた。
「マリク。1人は残しておいてくれ」
「あぁ、わかったよ」
やはり戦いに参加もせずに腕組みし、壁にもたれかかっていたラグラノールがマリクに注文をつけ、マリクも気軽に答えながらワイヤードナイトの剛剣を半身で避けてみせる。
「ふっ」
気の抜けたような気合の声。
しかしゼムンはハデさこそないものの確実に相手を追い詰めてゆく。それはまさに戦意を失わせる戦い方。もし仮に『もう一度戦うことがあったとしたら』もうその時点で相手に『勝てない』と思わせる戦い方だ……もっとも『もう一度戦う』という時点でナンセンスなのだが。
「ぬああっ!」
ドルツが大上段からの一撃を見舞う。
ワイヤードナイトは余裕を持って剣で受けようとし……
「はい、真っ二つ」
「あはは。赤っていいですよねぇ」
きょとん、とした顔で楽しそうに自分を見ながら笑っているハロゥとディーナを見るワイヤードナイト。
そしてそのまま後ろに倒れた。
ドルツのカタナはワイヤードナイトの剣をへし折り、かぶとを叩き割り、そのまま地面に叩きつけるように縦に1本の線を引いていた。恐ろしいほどの膂力である。
「うああああああッ!」
これだけの戦い方を見せられながら、それでも自分の戦意を鼓舞するかのように大声をあげてマリクに向かって突貫するワイヤードナイト。しかし……
「っ!?」
マリクは余裕を持って、床にあった『モノ』を突貫するワイヤードナイトに向かって蹴りつける……先ほどまで彼の仲間であった、その死体を。
死体とはいえ自分で斬りつけるのは躊躇したのか、ワイヤードナイトが仲間であった『モノ』を受け止め……
「キミ、本当に悪魔に魂を売ったのかな? あんまり悪くなさそうなんだよねぇ」
そのマリクの小ばかにしたような言葉を聞くこともなく死体ごと腹をマリクのサーベルによって貫かれ絶命した。
「おや、私が最後ですか?」
バックステップでワイヤードナイトの間合いから離れながら意外そうにゼムンが問いかける。
「そうだね。1人は残しとくよう言われてるから、それが最後だね」
「了解しました」
その瞬間、ゼムンに対していたワイヤードナイトは彼の姿を見失った。最後に見えたものは……
「ふぅ、こんなもんでしょうか」
掌底を顔面に叩きつけられたワイヤードナイトはそのままずるずると倒れる。
「さて、あと1人、だけど……」
残った1人は震えながら、それでも必死で剣を構えている。これだけの実力差を見せ付けられ、それでも抗おうとしていた。しかし……
「あっ?」
間の抜けた声を上げるワイヤードナイト。横からいつの間にか接近していたハロゥに武器を取られてしまったからだ。
「なぁにぃ、これ? 超安物」
バカにしたように剣を後ろに放り投げるハロゥ。これで億が一にも彼の勝ち目はなくなっていた。
「さて、この迷宮のダンジョンマスターの名前を聞いておこうか」
退路を塞ぎながら肩をモーニングスターで叩き、ラグラノールが問いかける。
「……」
ワイヤードナイトがふん、と横を向いた瞬間……
白いものと赤いものが飛び散った。白いものは歯。赤いものは血。ラグラノールが手加減なしの一撃をワイヤードナイトに見舞ったからだ。
「貴様の選択肢は2つ。楽に死ぬか、苦しんで死ぬか、だ」
言いながらもモーニングスターを顔面に叩きつけ続けるラグラノール。
「ん?」
やがて不自然なほど力の抜けたワイヤードナイトを前に不思議そうな声を出した。
「ふん……舌を噛み切ったか」
つまらなさそうに最後の一撃を脳天に。
「さぁ、いこうか。次は回復呪文を使ってでも聞き出してみよう」
そのラグラノールの言葉にドルツは渋い顔をする。
「どうしたんですかぁ?」
「お、おでは、こういうの、すかない」
ディーナの言葉に嫌悪感を剥き出しにして答えるドルツ。
迷宮にディーナの笑い声が響いた。

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【2006年12月29日02:11 】 | Wizardry小説 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
無題
今回のタイトルはよるのつるです。

さて横はまねしちゃいけないワルイコの戦い方です。いろいとあれですね。いや、私は嫌いじゃないんですけどね。
【2006年12月29日 02:13】| | 上杉霧音 #2abe2dbaaf [ 編集 ]
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