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【2017年11月23日03:04 】 |
Wizardry外伝1 受難の女王 その2

ダバルプスの呪いの穴。
かつてリルガミンを恐怖のどん底に叩き落した魔人ダバルプスがかつて生み出した迷宮洞窟。
反逆者タイロッサムはこの洞窟の奥底に潜み……今もまたモンスターたちを召還し続けているはずであった。
その第5層……彼らは今、ここにいる。


つれづれなるまゝに、日ぐらしすずりにむかひて


「わーッ!」
突然大声で叫んだシガンの口を慌てた様子でファールとカザルがふさぐ。
ケイツが警戒するようにあたりを見回し……
洞窟の奥のほうより落盤の音が響いた。
「うふ、うふふぅ」
なにかツボに入ったのだろう、その音を聞いてシガンが笑う。
「あ、あああ、あほか、こいつはぁ!」
カザルが動揺したように小さな声で叫び……
それがまた落盤を呼ぶ。
第5層……ここは地盤がもろく落石が相次ぐ危険な場所であった。
「いや、だって、おもしろくてさ」
にっと笑いながら言うシガンに力が抜けたようにファールがへたり込む。
「あぁ~……生きて帰れるのかなぁ」
「大丈夫だって。ほら、戦闘中だったらもっと大きい音してるのに、まだ一回も死んでないってことは、この程度じゃ死なない死なない」
やたらポジティブにレイラがファールの肩をぽんぽんと叩く。もちろんそのセリフになんの根拠もない。
「死んでたら生きてないし!」
動揺しているのか、ファールの口から出たのはよくわからないセリフだった。
「うむ、ファールよ。意味がわからん」
ユーウェイが重々しく頷いた。
遠くから落盤の音が響いた。

この迷宮が何層からなるのか、知っているのはもうタイロッサムだけであろう。
かつてダバルプスがこの迷宮を支配していた当時は全6層からなっていたこの迷宮は当時の面影をまったく残さず、地形すら変わった状態でそこにあった。

「う~ん」
ファールが唱えたデュマピックの呪文の効果による、宙に浮き出た地図を食い入るように見つめながらカザルがうなり声を上げ、立派なヒゲをしごいた。
デュマピックは一度でも足を踏み入れた場所をすべて映し出す魔法である。
パーティは第6層へ向かう階段もすでに見つけており、地図も北西の一部を除きほぼ埋まりつつある。
だが……
「むぅ」
第6層で彼らを待ち受けていたものは出口もなにもないただの小部屋であり、第6層に本格的に入るためにはなにかが必要なはず、なのだった。
第5層がこのような状況なのだから崩れそうなほどもろい壁はある。だが冒険者はあくまで冒険者であり、穴を掘る専門のものではない。
下手にもろい壁に穴を開けようとすれば、それこそ生き埋めになる危険性があった。
「きけん……きけん……うぅむ」
「危険……? はて?」
カザルの呟きにレイラが首をひねる。
「最近、どっかでその単語見たような……」
カザルと同じように考え込むレイラ。
「あの……第6層の小部屋の行き止まりに危険って看板に書いてありましたよ」
ケイツが答えを言った。
「う~ん」
「う~ん」
だが誰も聞いていなかった。
「はぅぅ、私なんて……私なんて……」
幾万もののの字を書き記すケイツ。彼女の心の手記はのの字で埋め尽くされていることであろう。
「あ、第6層に危険って看板なかったっけ?」
ファールが思い出したように顔を上げた。内容はケイツが先ほど言ったことと一緒だが。
「あ、それだ!」
レイラも顔を輝かす。
「ん? そんなのあったっけなぁ……一応だし、一回確認しに行くか」
首をひねりながらもカザルはパーティメンバーに告げる。
「お~う」
元気に叫んでシガンが走り出した。もちろん第6層への階段とは逆方向に。
「うぅっ……私なんて」
しゃがみこんで呟き続けるドワーフ少女の頭にやけに大きな手が乗せられる。
「いくぞ、ケイツ」
「ユーウェイさぁん」
ユーウェイの声にケイツは涙交じりの声を上げる。
「大丈夫だ。ケイツには我輩にはマネのできない能力があるではないか。みなもそれはわかっておろうよ」
「……のう、りょく?」
驚いたように瞬きをする少女。
「うむ……ここまで無視されるのは才能としか言い様がない。すばらしい芸風ではないか」
「そっ! それって微妙ですぅ~! しかもすごく微妙っ!」

「お~、確かに危険とか注意とか書いてあるなぁ」
第6層。
その看板は落盤の恐れがあるので爆弾と呪文を使用禁止するものであった。
「爆弾?」
モンスターが落とす宝箱にも爆弾のワナは存在するが、ユーウェイが思い浮かべたのはそれではなく……
「そ、そういえば……第4層に5000ゴールドで爆弾宝箱を売ってるおじいさんがいましたよねっ」
かつて一行が『5000ゴールドも払うんだからそうとうなブツに違いねぇ。ひゃっはー』と買い取った箱が爆弾であり、腹いせに第1層のザコモンスターにぶつけて粉みじんにしたことがあった。
「う、うぅむ……あれはそういう使い方をするものであったか」
珍しくメンバー全員が聞き取ったドワーフ少女の言葉にユーウェイが渋い顔をする。
大金なのだから出来れば払いたくはないが……
「ま、背に腹は変えられんか」
カザルが肩をすくめた。

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【2006年11月28日21:33 】 | Wizardry小説 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
無題
ちなみに前回のタイトルは松尾芭蕉、奥のほそ道の序文。今回のはいわずと知れた吉田兼好、徒然草っすね。

さて、一応ギャグにもシリアスにも持ってけるテンションで書いてます。うん、今後どうしよう。どうしよう、ね? う~ん。
【2006年11月28日 21:35】| | 上杉霧音 #9a7c4dd2fd [ 編集 ]
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