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【2017年12月13日20:11 】 |
Wizardry外伝1 受難の女王 その24

「さて、『左』にいくぞ!」
マロールで転移して再び訪れた第6層。
どすどすと足音を立てて左側の通路に足を進めるカザル。
「……は、はぅぅ~」
ケイツは胃に穴があいてゆく感覚を思う存分味わっていた。


むかし、かべのなかよりもとめ出でたりけむふみの名をば


左に先行していたカザルの姿がいきなり消える。
「?」
「……あ、テレポーターか。ここにきて仕掛けしなくてもいいのに」
苦笑するファール。そしてメンバーは続々とカザルが消えたあたりに足を踏み入れた。

そこは小さな部屋だった。
ケイツがきょろきょろと辺りを見回しながらデュマピックの詠唱をはじめる。パーティメンバーの頭上に地図が浮き出す。
「第5層? ……そっかここが足を踏み入れられなかった場所なんだ」
レイラが納得したような声を上げた。
第5層南東部。分厚い壁に阻まれ内部に侵入することが出来なかった場所はタイロッサムの部屋の奥から行き着くことの出来る場所だったのだ。
きょろきょろと珍しそうに見回していた一行に小さな影がにじり寄ってきた。
「……みなさん」
「うわぁっ!」
驚いて武器を構える一行。
声をかけたのは小さな老人だった。
シガンは危うく斬りつけるところだった。
「……」
老人は腰を抜かしたように目を見開いてへたりこんでいる。どうやらモンスターではなさそうだ。
「あ、あっぶないなぁっ! もうサービスしてやろうと思ったけどしてやらんっ!」
ぷりぷりと怒って部屋の隅を指差す。
そこには……
……空中に裂け目がただ浮かんでいた。
「な、なんだこりゃあっ!?」
「きもっ!」
口々に感想を言い合う一行。
裂け目の向こう側は暗くてよくわからない、がどうやら通り抜けることが出来そうだ……出来そうではあるのだが。
「これが……タイロッサム様がおっしゃってたことなんでしょうか」
ケイツが首をひねりながら呟く。
「日記に書いてあった奥の院……まぁ、そうなんだろうなぁ」
シガンもまじまじと裂け目を見る。どういう仕組みでこのようなものが存在しているのかがよくわからない。
「こ、こんなこと、人間には出来ませんよ……あ、ドワーフなら出来るとかそういう意味じゃなくて。こんなことできるとすれば魔族だけです……!」
ケイツが自分の発言に天啓を得たように口に手を当てて固まった。
「け、ケイツ様……確かに魔族であれば納得は出来ますが」
冷や汗をかきながらミルーダも絶句する。
「しかし、この迷宮には今まで悪魔はいませんでした」
必死に抗弁するミルーダ。しかしケイツは首を横に振る。
「……もともとのダバルプス呪いの穴にも魔族はいたって文献が残されてますし、それに今ではダバルプスの時代に存在しなかった魔法の復元……つまり悪魔を召還する魔法があって、中級以上の魔法使いだったら使いこなせるものなんです。私にだって使えるくらいですから……だからこそむしろタイロッサム様が魔族の召還を行っていなかったことに疑問を抱くべきだったんですね」
顔をしかめて裂け目を見るケイツ。
「つまりケイツの考えじゃ裂け目の向こう側……『奥の院』にゃ魔族がいるってことか」
こくり、と頷くケイツ。
「そ、それからもうひとつ……魔族の住む世界とこの世界というのは通常だと行き来できるものじゃないんです。誰かがこちらの世界から呼ばなきゃいけない……こんな裂け目を作り出すことが出来るくらい強い魔族が呼べる術者は……もしかしたらタイロッサム様以上の魔力を持っているかもしれません」
ケイツの説明にパーティを嫌な沈黙が覆う。
「……確かにあの爺さんで手に負える程度だったら、こんな迷宮に篭るなんてことはせずにあの爺さん自身が動いてるだろうしな。だがそれも推論だ。いってみよう」
カザルが決断を下し、裂け目に足を踏み入れた。

「ここが……奥の院」
暗い通路。その壁は石のような……しかしまったく別の材質のようである。
あたりは静まり返り『静謐』という言葉こそが相応しい。だが……
「……う~ん」
「あ、気づいた?」
顔をしかめるレイラにファールが苦笑を浮かべた。
辺りから感じられるのは剥き出しの悪意。ここに足を踏み入れたことによる嫌悪の感情。
それがパーティに叩きつけられていた。
「……ここで立ち止まってても仕方ない。いこうか」
自分の後ろに裂け目があることを再確認し、退路を確保したことを確認してからカザルが声をかけ……しかし足を踏み出すことなく、耳をすます。
……
蝙蝠の羽音に似た音が通路の奥から響いてくる。
一行は武器を持つ手に力を込める。
そしてその生き物が現れた。

3匹の……どう説明したらよいのだろう。
緑色の肌。背には蝙蝠のような翼。鳥のような嘴。しかし体躯は決して鳥ではなく人間を悪趣味にデフォルメしたようないびつな体格。手には鋭い爪がはえている。
「……クァァァァァァっ」
怪鳥音とともに吐き出される炎。
「ま、マハリトっ!?」
炎に焼かれながらミルーダが驚愕の叫びをあげる。呪文の効果を発動させるには必ずその呪文の方程式を言葉に出さなくてはならない。
1足す1と唱えることによって2という答えが姿を見せるのだ。だからこそ本来魔法使いに対し、沈黙の呪文を唱えることさえ出来れば呪文が効果をあらわすことはない……だがこいつらには……
……まったく違う法則があるということか。
「これが魔族かぁっ!」
ファールがムラマサを構えて走った。

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【2006年12月20日20:58 】 | Wizardry小説 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
無題
今回のタイトルは十六夜日記ですね。

さて今回最後に登場したのはウィングデーモンです。いや、あれだ、この小説で初悪魔。
まぁ、外伝1が途中まで悪魔出ませんからねぇ。
ちなみにこの小説の悪魔は別の言語を詠唱としてるのでモンティノは通じます。あくまで『別言語』ってだけですからね。
【2006年12月20日 21:01】| | 上杉霧音 #93641662e8 [ 編集 ]
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