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【2017年09月21日19:28 】 |
Wizardry外伝1 受難の女王 その14

そして1週間……
探索は遅々として進まなかったもののシガンは後衛よりの攻撃と補助に、ミルーダは適切な呪文の行使に、連携面においてパーフェクトとはいえないまでも一定の満足できる戦力としてパーティは仕上がってきていた。
そして再び第6層へ……


このころ友人何がし、一書を懷にして來きたつて是見よ


「う……ここは……」
第6層の空気を嗅いだ瞬間、呻くような声を出すミルーダ。
「殺意が……四方から感じられます」
「なんだぁ、それ感じ取れるなんてなかなかやるじゃん。姉譲りの感覚ってやつ? やつ?」
感心したようにレイラがミルーダの後ろから抱きついた。。
「きゃっ」
「あっ! この! そういうことは俺がしたいのに!」
ミルーダが驚いた声を上げ、シガンがぶっちゃける。
その言葉を聞き、ミルーダはさらに真っ赤になった。
その様子をファールは見ながら呆れたように肩をすくめ……そして視線をさらに後ろに向けた。
「ケイツ、緊張してんの?」
いつにも増して口数の少ないドワーフの少女に声をかけた。
「そう、見えますか?」
「見える見える。そうとしか見えないくらい」
ファールの言葉に苦笑するケイツ。
「なら、残念。緊張じゃないですよ……武者震い、ってやつです」
「ふぅん?」
「ほら、私ってタイロッサムの弟子の弟子……つまりあの男の直系なんですよね……」
ケイツは吐き捨てるように語りだした。

少女はそのリルガミン近郊のその小さな荘園の中の比較的裕福な農民の家に生まれ育った。
愛する家族に囲まれ、3年後に弟の誕生、その2年後には妹と弟の双子の誕生。そのころ家族は幸せに満ちていた。
少女が10歳になった年、村にある家族が移り住んでくる。その家族は一家揃っておかしな顔色をしており、あまり健康そうには見えなかったものの、よく気のつく働き者であり、村人としても阻害することはなく一見よい関係が続いていた。
しかしなにか思うところがあったのだろう、父親は少女に弟たちを連れ、リルガミンまで遊学に出るように命令する。
父親には荘園領主に対する責任と、また自分の家で管理している農奴たちへの責任があり、母親には父親を命をかけて補助しようとする折れない気持ちがあった。
リルガミンの街は少女とその弟たちにとってはじめてみるものでいっぱいだった。
少女とその弟たちを受け入れた初老の貴族は、荘園を経営する領主であり、少女が持っていた父親からの手紙を受け取ったり読んだあと、ずいぶん難しい顔をしてはいたが、しばらくして優しい顔になり少女たちに『いつまでもここにいていいから』ということを言った。
優しい貴族様と家族に囲まれて、少女は自分のことをなんて幸せな人間なのだろうと思った。

そして少女の村は一晩にして疫病で全滅した。

沈痛な顔の貴族から事の真相を聞いたのはすべてが終わったあとだった。
少女は『私の養子になればいい』という貴族の手を振り切って弟たちの手をとって村へと向かった……そこは無人の街だった。
つい今まで生活していた痕跡のある村、しかし誰もいない村。少女たちはその村をさ迷い歩き……無常な現実を見つめざるを得なかった。
こんな状況であっても日はまた昇り、生きていかなければならない。自ら手を振り払った貴族のもとへなど帰ることは出来なかった。
少女は弟たちを養うために弟たちには内緒で体を売った。リルガミンほどの大きな街であれば少女のようなものが街娼をしていたとしてもおかしくはない。
はじめての男は全身傷だらけの男だった。
かけらも優しさの存在しない動きに少女は泣き叫び、男はそれが気に食わないと少女を殴り倒した。少女が抵抗をやめるまで男の暴力は続き、そして再び腰を動かす。
行為が終わり、涙も涸れ果てた少女に男は唾とともに数枚の銀貨を投げ捨てる。それが彼女の報酬。服を着ることすらせず、小さな手で銀貨を握り締める少女に罵声を浴びせ男は立ち去る。
そのお金で少女は弟たちにご飯を買った。弟たちは本当に嬉しそうで……少女はそのときだけつらさを忘れられた。

その男……ティンダ・レイが街娼の少女を見出したのは偶然としかいいようがない。
路地で立っているその街娼を見たとき彼の頭に魔力が迸るのが感じられた。彼はその街娼を買い取り、そして魔法使いとしての教育を施す。また自分の家の手伝いをさせ安いとはいえ、少女に賃金を渡した。
少女は暴力から開放された。
しかし彼女の幸せはそう長くは続かない。
自分に魔法を教えた師匠の、その師匠タイロッサムの叛逆。師は憂いに満ちた顔で頭を抱えることが多くなった。少女には……自分を救ってくれた恩人にそんな顔をさせるタイロッサムを許すことなど決して出来なかった。

「……今の私があるのって……師匠のおかげですから。マリクさんたちがタイロッサムを殺してくれるのならそれでかまわない、と思っていましたけど……あの人たちがやらないのなら……私たちがやるしかないですから」
笑うケイツ。
「そっか」
ファールはケイツの肩を優しく叩く。
「だったら、生きて帰らなきゃ、ね」
「はい」
ケイツはにっこりと笑った。

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【2006年12月10日13:15 】 | Wizardry小説 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
無題
今回のタイトルは蕉門頭陀物語~。

いあ、これ、書いててすげぇつらかったっす。殴るシーンとか。あふん。

ビースロバインド シガツミッカ(ドルツ)
ビーバイってのはまぁ、妖怪が人間に混じって暮らすー? なんか違う気がするけどそんな感じのTRPGなわけですが、シガツミッカはぶっさいくな人造人間です。人間に変身することも出来て、そのときの姿はイケメンなんですけど、やっぱ正体はブサイクなんで、コンプレックスの塊なんですね。
ドルツはブサイク面だけ抽出してみました。まぁ、これもフェイバリットキャラなんでね。
【2006年12月10日 13:21】| | 上杉霧音 #986e10653d [ 編集 ]
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