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【2017年09月21日19:25 】 |
Wizardry外伝1 受難の女王 その13

「そういえばユーウェイさんが引退したそうだな」
マリクが『どうでもいいことだが思い出した』とでもいうような口調で話しかける。
第6層。
マリクたちのパーティがこの場所でキャンプを開いていた。
傍らにはハタモトたちの死体。血臭が鼻につく……が、それも悪くないとマリクは思っていた。


もの思ふことのなぐさむにはあらねども


第6層。
このマップもすでにずいぶん埋まりつつある、が、悪戒律である彼らのパーティは先を急がない。
恐らくここから先に進めばタイロッサムがいるのだろう。
だが……叛逆者? 国家の命運? そんなものを気にしていてなにになるというのだ。
近衛兵に取り立て? そのような堅苦しく王宮に束縛される生活などこちらからお断りである。
報奨金? そんなはした金などを得て満足するようなものなどいはしない。
タイロッサムは今も必死にモンスターたちを召還し続けているであろう。そしてモンスターたちはときに他のパーティを全滅させその持ちアイテムを奪い去り、ときにタイロッサムから与えられるアイテムを活用し、そのまま彼らのパーティに打ちかかっていき……返り打たれる。
そのマジックアイテムを売り払うだけで巨額の富を得ることが出来るのだ。
いつかは自分たちが正義と信じているお節介な善戒律のパーティ……カザルたちのパーティかもしれないし、それ以外のパーティかもしれない。もしかしたら目先の金と1ゴールドの価値すらない名誉に目がくらんだ悪戒律のパーティかもしれない。だがそんなことに興味はない……によってタイロッサムが打倒され、この迷宮からモンスターも駆逐され……当面の金づるを失う日も来るだろう。
だがそのときはそのとき……
今はただ得られる富のことだけを考えていればそれでよかった。
今のマリクたちには迷宮を小遣い稼ぎの場として考えることが出来るだけの実力があったのだから。

「あぁ、聞きました聞きましたぁ。ディーにお別れの言葉もなくいなくなっちゃうなんて失礼なおじさんですよねぇ」
マリクの言葉に一番早く反応したのはエルフの魔術師、ディーナだった。
「おや? ディーはユーウェイさんのことを気に入っていたのかい?」
マリクがからかうようにいう。
「えぇ、好きでしたよぅ……頑丈そうで。いくら殺しても死ななそうじゃないですか。お人形さんにはぴったり、ですよねぇ」
無邪気に笑う。だがメンバーは少女が人形と称した幾人もの男を奴隷として使役しており、また飽きた奴隷を殺していることも知っていた。死体が見つかったことはまだない。少女がどのような方法で死体の処理をしているのか、知っているものはいない。
「こえーこえー……でもおっさんいなくなったってほんとぉ? 初耳なんだけどぉ」
「本当ですよぉ。ハロゥもおじさんのこと知ってるんですかぁ?」
無邪気に笑う……仮面の裏で獲物の横取りを警戒する視線を投げかけながらディーナが半裸の神官、ハロゥに問いを向ける。
「知ってるもなにも……今のこのパーティになる前、私がリルガミンに到着してはじめてパーティ組んだのがおっさんだったからねぇ」
「あら、そうだったんですかぁ」
意外そうな顔でハロゥを見つめるディーナ。
「ま、半年くらい前の話さね。そんときの縁で……ま、いろいろ稼がしてもらったしね」
ハロゥはカザルのパーティの癒し手であるシガンが成長するまでの間、パーティが傷ついて帰還したときの回復呪文を有料で請け負っていた……のだが……
「それだけじゃなさそぉですねぇ?」
笑みを含みながらディーナがハロゥの顔を覗き込む。
「カザルって意外と上手なんよ」
ハロゥはうふふ、と笑いながらそう言った。
「あー、ディーもいい男見つけたいなぁ……ドルツ、あなたそんだけ図体大きいんだからあっちのほうもいいんでしょうねぇ? 今度どうですぅ?」
少女らしい無邪気さで……ディーナはとんでもないことをいう。
「お、おでは……いい」
ドルツは一瞥だけして、すぐに明後日の方向を向く。
この醜男の巨人は……しかし鋭い視線であたりの警戒を怠っていなかった。
「だめだめ、ドルツはあのエルフちゃんにぞっこんだからね」
「あぁ、残念ですねぇ」
ハロゥのフォローにディーナは真っ赤な顔になってぶるっと震えた。
そのドルツがエルフちゃん……ファールが殺された瞬間に立ち会ったならば、どれほど狂うことだろう。それを想像しただけでエクスタシーを感じてしまったのだ。
「おっちゃんは? なんか感慨とかないの?」
ハロゥは今まで一言も発していなかったニンジャ、ゼムンに声をかける。
「私は、それほど付き合いが長かったわけでもなかったですしねぇ。2、3度お酒にお付き合いしたくらいでしょうか」
隙がある、ない以前の話なのであろう。ゼムンは存在すら感じさせず、ただそこに立ったまま答える。
このさえない中年の男が今までなにをし、なにを求めてリルガミンへやってきたのかを知っているものはいない。
当時このパーティのメンバーでありマリクの恋人であったレイラが抜け、偶然にもそのときに街へと姿を現したゼムンがパーティ入りすることになる。最初はただの人数あわせだった。危なくなれば捨石くらいの役に立てばいい、という。しかし今では立派な主力であるといえる。
「よし、無駄話はそこまでだ。そろそろいこうか」
メンバーに声をかけてマリクが立ち上がる。
今日はまだ剣に血を吸わせ足りていなかった。

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【2006年12月09日22:12 】 | Wizardry小説 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
無題
今回のタイトルはうたゝねの記~。

いや、なんかエロいな、ディーナ、おい。

天羅万象 赤尾世羅(ディーナ)
これはもともと私がGMでね、小公女セーラをやろうと思ったんですよ、無謀なことに。えぇ、やたら無謀でして。
戦国時代にそんな甘っちょろいのは生きていけないってことで悪巧みメイデンになってしまいました。でもフェイバリットキャラの1人ですね。
【2006年12月09日 22:16】| | 上杉霧音 #9a7c4d7e8e [ 編集 ]
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